統合失調症になってから、外の音が苦手になった。人の声、車の音、風の音さえも、時々ひどく耳につく。特に人の声は、ただの会話であっても、自分に向けられたものではなくても、妙に気になってしまう。だから、晴れた日でも、私は家の窓を閉めたままで過ごすことが多い。
以前は、天気のいい日には必ず窓を開けていた。風を感じるのが好きだったし、外の空気を吸うと気分がリフレッシュできる気がした。でも、今は違う。窓を開けると、外の世界がぐっと近づいてくる。隣の家の人が誰かと話している声が聞こえると、なんとなく落ち着かなくなる。「私のことを話してるんじゃないか」そんなふうに考えてしまう。もちろん、本当にそうとは限らないし、むしろ私のことなんて誰も気にしていないのかもしれない。それでも、一度そう思ってしまうと、気になって仕方がなくなる。
それに、たとえ誰も私のことを話していなくても、人の声そのものが耳に痛いと感じることがある。賑やかな笑い声や、遠くで誰かが怒鳴るような声が聞こえると、それだけで心がざわざわする。だから、窓を開けたくない。雨の日や曇りの日は、外の音が少し静かになるから、むしろ落ち着くくらいだ。晴れている日こそ、私はそっとカーテンを引き、外と距離を置く。
人の声が嫌いなわけじゃない。でも、不安が膨らんでしまうとき、些細な音さえ心に響いて、ひどく疲れてしまう。外の世界と関わるのが怖い日もある。そんなとき、窓を閉めることは、私にとって必要なことなのかもしれない。
もしかすると、これを読んでいる人の中には、「そんなに気にしなくてもいいのに」と思う人もいるかもしれない。でも、統合失調症になると、そう簡単にはいかないこともある。音が気になってしまうことも、閉じこもりたくなることも、すべて病気のせいだと分かってはいるけれど、それを無理に変えようとすると、余計に苦しくなってしまう。
だから、私は今日も窓を閉める。外はきっと青空だろう。でも、今の私には、静かな部屋の中がいちばん安心できる場所なのだ。
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