統合失調症の障害年金2級と3級の分かれ目について、「入院歴があるかどうかで決まる」という話を聞いたことがある人は多いかもしれません。でも、それは本当なのでしょうか? もし本当だとしたら、どのような理由でそうなるのでしょうか?
この記事では、統合失調症の障害年金における2級と3級の違いについて、入院歴との関係も含めて詳しく解説していきます。
そもそも障害年金とは?
障害年金は、病気やケガで働くことが難しくなった人に対して支給される公的な年金制度です。日本では 障害基礎年金(国民年金)と 障害厚生年金(厚生年金)があり、統合失調症の場合は主にこのどちらかの年金を受け取ることになります。
等級は1級、2級、3級があり、1級が最も重く、3級が最も軽いという区分になっています。ただし、 障害基礎年金には3級がなく、1級と2級のみ です。そのため、国民年金のみ加入していた人は2級以上でないと受給できません。
一方、厚生年金に加入していた人は3級でも受給でき、さらに障害手当金という一時金の制度もあります。
では、統合失調症の場合、どのような基準で2級と3級が決まるのでしょうか?
障害年金における2級と3級の違い
障害年金の認定基準では、統合失調症の2級と3級の基準は次のようにされています。
- 2級:「日常生活が著しく制限され、常時の援助が必要な状態」
- 3級:「労働が困難であるが、日常生活はある程度できる状態」
これを簡単に言い換えると、 2級は日常生活も大きく制限されるレベル、3級は仕事は難しいけど日常生活はある程度できるレベル ということです。
例えば、2級の例としては以下のような状態が考えられます。
- 自分で食事の準備や掃除ができない
- 服薬管理ができず、家族や支援者の助けが必要
- 外出がほとんどできない
- コミュニケーションが困難で、社会との関わりが極端に少ない
一方、3級の場合は
- 家事はなんとかできるが、仕事をするのは難しい
- 外出はできるが、人と関わるのが苦手
- 短時間なら単純作業ができるが、継続的な仕事は無理
というような状態が該当することが多いです。
入院歴は2級・3級の判断に影響するのか?
「入院歴があると2級、入院歴がないと3級になる」という話を耳にすることもありますが、これは 必ずしも正しいとは言えません。
確かに、 入院歴があると症状が重いと判断されやすい という側面はあります。長期入院している場合、「日常生活が困難な状態」と判断されることが多いため、2級になる可能性が高くなります。
ただし、 入院歴がなくても日常生活に大きな支障があれば2級と認定される こともあります。例えば、
- 何度も仕事を辞めてしまい、社会復帰が難しい
- 幻覚や妄想が強く、一人では生活できない
- 生活リズムが崩れすぎていて、日中ほとんど動けない
こういった場合は、たとえ入院歴がなくても2級に該当することがあります。
逆に、 入院歴があっても短期間で退院し、その後ある程度の生活ができているなら3級になることもあります。
2級と3級を分けるポイント
入院歴だけではなく、 普段の生活がどれだけ制限されているか が重要な判断基準になります。
具体的にチェックされるのは、次のような点です。
- 食事・家事:自分で食事の準備や掃除ができるか?
- 服薬管理:薬を適切に飲めるか?
- 外出:一人で買い物や病院に行けるか?
- 対人関係:家族や周囲の人とコミュニケーションがとれるか?
- 金銭管理:お金の管理ができるか?
こうした項目が著しく制限されていると2級、それなりにできるなら3級、という判断になりやすいです。
申請時のポイント
統合失調症で障害年金を申請するときは、 診断書の内容が非常に重要 になります。
医師が書く診断書には、日常生活の状況や症状の重さが詳しく記載されます。この内容によって、2級か3級かが決まることが多いため、 自分の状態をしっかり伝えることが大切 です。
例えば、診察のときに「最近どうですか?」と聞かれて「まあまあです」と答えてしまうと、医師は「それほど困っていないのかな?」と判断してしまうことがあります。でも実際は、
- ほとんど家から出られない
- 料理や掃除ができない
- 人と話すのが怖い
というような状態なら、きちんとそれを伝えましょう。
また、 病歴・就労状況等申立書 という書類も提出する必要があります。これは、自分の病歴や生活の様子を自分で記入するものです。この書類に 困っていることや生活の制限を具体的に書く ことが大切です。
まとめ
統合失調症の障害年金2級と3級の分かれ目は、 入院歴だけで決まるわけではなく、日常生活の困難さが重要 です。
長期入院していると2級になりやすいのは確かですが、 入院していなくても生活が著しく困難なら2級になることもある し、逆に 入院歴があっても生活がある程度できれば3級になることもある のです。
障害年金の申請を考えている場合は、診断書や申立書に 日常生活でどれだけ困っているかをしっかり書く ことが大切です。
年金の等級は生活に大きく関わるものなので、自分の状況を正しく伝えて、適切な等級で受給できるようにしましょう。
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